反抗期の子どもと、その対応にほとほと困り果てている親。毎日のようにくり返される親子ゲンカ…。そのような日々が続くと、家庭はけっして居心地の良い場所とは言えなくなってしまいます。
当事者はつらい精神状態に耐えなければなりませんし、他の家族にも緊張が伝染します。「一体いつ終わるのか?」先が見えない戦いに、母親の心は壊れる寸前、父親も家庭での存在意義を見出しにくくなってしまいます。
10代以降、思春期にさしかかった子どもの反抗期は避けられないものなのでしょうか?親子の衝突を止める方法はないのでしょうか?
この記事では、中学生の息子と母親の間で板挟みになっている父親の心情をもとに、親子の関係不和を解消する方法についてお話ししたいと思います。
家庭に平和を取り戻すための糸口を、どこからどう掴めばいいのでしょうか。心理カウンセラーの視点から、コミュニケーションを軸にした解決方法と、その特徴や効果をわかりやすくお伝えします。
反抗的な息子の素行
Iさん・40代男性の悩み
1)中学生の息子
中学2年生の息子がいます。小学校の高学年になった頃から、反抗的な態度が目立つようになり、現在も素行があまり良くない状態が続いています。
朝はいつまでたっても起きて来ないし、口答えばかりします。とにかく口が悪い。生活態度もだらしない。
これはほんの一例ですが、学校の行事予定表や授業参観の案内をいつまで経っても親に渡しません。行事の出欠確認のため、担任の先生から親に直接連絡が来る、ということが何度もありました。先生から連絡が来て、初めて学校行事のことを知るという気恥ずかしい思いをしました。
しかし息子の方は、一向に意に介せずといった様子です。親が渡した学校宛の提出物もカバンの中に入れっぱなしで、ひどい時には自宅の机の上に置きっ放しということもありました。
2)妻と子の狭間で
妻は、そんな息子と毎日のように言い争いをくり返しています。何度言ってもいうことを聞かないので、次第に妻の怒りもヒートアップし、今では怒鳴ったり罵倒したりすることが当たり前のようになっています。息子は息子で、反発し続けます。家は落ち着いて過ごせる場所ではなくなってしまいました。
自分も見て見ぬふりはできないと思い、仲裁に入っていました。とにかく妻をキレさせないようにと思って、なだめたり、落ち着かせようとしてきました。
だけど怒りの矛先が自分の方に向かってくることもしょっちゅうで、なぜそうなるのか…?いつの間にか自分の身を守ることに一生懸命になっていることに気づいて、そこはかとなく情けない気持ちに襲われたこともあります。
反抗的な息子にも、それはそれで気を使います。母親と一緒になって息子を怒鳴りたくはないし、かと言って放っておくわけにもいきません。
自分からも、やるべきことはやるようにと伝えるのですが、結局何も変わりません。母親に文句ばかり言っていたかと思うと、急に口をきかなくなったりして、何を考えているのかさっぱりわかりません。
先日、息子が妻に対して言ったひとことがあまりにも酷い言葉だったので、ついに自分もカッとなって叱り飛ばしてしまいました。さすがに息子は黙って聞いていましたが、あれは本当に許せないことでした。
3)息子以上に気になる事
息子の態度にもほとほと呆れているのですが、それ以上に耐えがたいのは妻の様子です。こう言ってはなんですが…まるでヒステリーのように癇癪を起こします。
自分で産んだ子どもに向かって、どうすればそんなことが言えるのか?と耳を疑いたくなるような罵声を浴びせます。もはや妻のそばにいることが苦痛です。声を聞くのもイヤになってしまいました…。
こんなこと、誰に相談するわけにもいきません。職場には自分と似たような、家庭のある先輩や同僚がいますが、深い話はできません。
少し勇気を出して、家庭がうまくいってないことを打ち明けても、大抵の場合「うちも似たようなもんだよ~」とか「どこも大変だよねぇ」という程度の軽い慰めで終わります。
皆仕事をするために集まっているし、当たり前と言えば当たり前かもしれませんが、誰一人として本気で相談に乗ってくれる人がいないことに、ふと寂しさを感じたりもします。
4)インターネットや本の限界
インターネットで「子ども 反抗期」「ケンカ 仲裁」「子育て 悩み 中学生」とか調べてみても、役立つものが見つからない。
本にも良いことがたくさん書いてあるし、読みながら共感したり納得できたりするけど、現実に戻った途端、何をどうすればいいかわからない。”今日、自分の家で起きた言い争い”にぴったり当てはまる例が見つからない。
ネット情報はもはや”読んでいるだけ”に等しいかもしれない。
長い間家族のために働いてきて、家も車も生活費も何もかも、できる限りのことはしてやりたいと思って支えてきたのに…。ケンカ、罵声、睨み合い、こんなものがほしくて頑張ってきたんじゃない!疲れた…。もう逃げ出したい!!
妻の怒り・子どもの抵抗

Iさんのように家庭の問題で悩んでいる男性は少なくありません。そして父親たちは、必ずしも子どものことだけで悩んでいるわけでもありません。むしろ子どもの態度を上回る、妻の言動にこそ胸を痛めているのです。
「何度同じことを言わせるのよ!」「中学生にもなってそんなこともできないの!?」この程度ならまだマシです。「バカ」「ボケ」などの投げ捨てるような罵詈雑言。ついには「〇ね!」「〇ろす!」のような、子どもの存在そのものを否定するような暴言。
夫に聞こえる場所で、憎しみを込めて子どもに怒りをぶつける妻。その姿を見て、「心が離れていってしまった」と仰られた方もいます。怒り狂う母親に対して、反撃の姿勢を一切崩そうとしない子どもにも、為す術がない状態です。
夫は「とにかく妻の怒りを鎮めたい」その一心で情報を探し求めます。どうすれば妻の機嫌を損ねずにいられるか?どうすれば妻をキレさせずにいられるか?どうすれば妻の怒りが収まるか?
インターネットで情報収集をする日々。「嫁 ブチ切れる」「母親 ヒステリー」「妻 癇癪 止めるには」など、答えや手がかりを探します。
ネットの世界には、自分と同じように配偶者のことで悩んでいる人がたくさんいることを知りました。皆それぞれに四苦八苦しながらやっているんだなと思うと、少しホッとします。
だからといって「こうすればもう大丈夫!」という明確な答えがあるわけでもありません。いくつものサイトやSNSで子育てや思春期・反抗期について調べますが、現実は何も変わりません。
どれだけ良いことが書かれていても、その場ですごく納得できたとしても、数日たてば記憶は薄れます。実生活に活かされるものが何も残っていないことに気づき、愕然とします。
言い争いを止めるカギ

ここで一つ気になるのは、父親であるIさんの注目が、「妻の怒り」と「子どもの反抗的な態度」の2点にのみ集中していることです。
妻は子どもに「書類を出しなさい」と何度も言っています。それなのに子どもの方は一向に知らん顔。
「学校から予定表をもらったでしょう?出しなさい」
「こっちの予定を立てられないから今すぐ出して」
「書類1つ渡すのにどれだけかかってるの!?」
「いい加減にしなさい!」
「渡せ!!」
ついに妻は怒りを爆発させます。そんな状況で父親が黙っていると、
「黙っていないであなたも何か言ってよ!」
「自分の子どものことでしょ!」
「どうしてもっと家族の問題に向き合おうとしないの!?」
と妻から立て続けに責められます。そこでIさんは間に入って、子どもと話そうとしてきました。
「学校から何かもらって来たのか?」
「お母さんが書類ほしいって言ってるぞ?」
「あのな、俺もしつこく言いたくないんだよ」
「頼むから書類くらいさっさと渡せよ」
「お前学校でも先生にそういう態度取ってるのか?違うだろ?」
「あまり人を困らせるなよ」
できるだけ冷静に、下手に子どもを刺激しないように必要最低限のことを伝えてきました。
親の一方が感情的になってしまった時、もう一方はできる限り穏やかな対応を試みるという形はよく見受けられます。そうでなければ子どもは行き場を失ってしまいます。Iさんも家庭において、妻と子の間を取り持とうとしたり、親子ゲンカの仲裁をしようとしてきました。
ところがここに、一つ大きな見落としがあります。実はこの家庭では、Iさんも妻も2人揃って同じ対応をしているのです。そのために子どもを追い詰め続け、反抗心を煽り続けているのです。
もちろん妻の怒りを一方的に非難することはできません。母親として、子どもが学校生活をスムーズに送れるようにしてあげたいという気持ちが伺えますし、できるだけのことはしてあげたいと考えるのも、子を思えばこそです。
Iさんの、優しく冷静な対応ができる父親でいようとする努力も否定できません。妻や子どもの良き理解者でありたいと願う気持ちはよくわかります。
そのような親の思いがわかるからこそ、あえて苦言を呈しますが、Iさんの対応の仕方は根本的なところで妻と同じなのです。だからこそ子どもの様子に変化は見られず、対立状態が続いているのです。
Iさんと妻の共通点、それは2人揃って”言っても言っても伝わらない言葉”を”ひたすらくり返している”ということです。ここに気づき、言葉もしくは対応そのものを全く違う物に変えることができなければ、親子関係の改善は難しいでしょう。
子どもの言動を変えるカギは、言葉もしくはその対応にあります。
新しい知識を得ることで、適切な言葉選びができるようになります。
自分自身が今までとは違うやり方で、子どもから反抗されないやり取りをできるようになること。
それが子どもの反発を止め、妻の怒りを鎮めるための、強力な方法です。
対立を解き、暖かい関係を築く

カウンセリングルームRAKUANでは、親子の対立を解くためのコミュニケーション講座を提供しています。アメリカの臨床心理学者であるDr.Thomas Gordonが開発したメソッド(Parent Effectiveness Training)をベースにしています。
このコミュニケーション方法は、親子の対立関係を解くだけではなく、親と子どもの自然かつ暖かい関係作りを可能なものにします。子どもの心を緩ませる聞き方や、親の正直な気持ちを伝える方法など、日常の様々な場面で活かせる技術を身につけることができます。
参考までに、私はこの技術を大人になってから習得し、親との関係を180度違うものに変えました。反抗期が早く始まり、かつ長く続いた私は、激しいケンカや無言の抵抗で親と傷つけ合う10代・20代を過ごしましたが、今では両親と良好な関係を保っています。実家に帰る度にいろんな話題で盛り上がったりしています。
もちろんまだまだ改善できることはあると思いますが、Gordonメソッドのおかげで、親との関係作りを不安に感じることはありません。現在コミュニケーション講座でお伝えしている内容は、私自身が「これでやっと生きていける!」と感じるほどに、人との会話に希望を与えてくれたものです。
『聞く技術』と『伝える技術』それから『対立を解く技術』を身につけた私ですが、小学校やデイサービスなどで子どもと関わる経験を通し、改めてそのスキルの有用性を確信しました。”言葉を変える”ことでうまくいった実例をいくつかあげてみます。
例えば、「片づけなさい」と何度言われても絶対に片づけなかった子どもが、私が言ったあるひとことで即座に片づけ始めました。
「宿題してから遊びなさい」という指示から逃げ回っていた子どもが、ほんの一言で瞬時に宿題を始めました。
「席に座っていなさい」といくら言っても全く座ろうとしなかった子どもが、数秒の語りかけでピタッと席に座りました。
3人の子どもが、同時に問題行動をやめたこともありました。
ケンカの仲裁に入れば、こちらが何も言わなくても、最後には子ども同士で「ごめんね」と言い合うこともありました。
これらは全て心理学とコミュニケーションを学んでいたおかげです。
第三者の視点

この講座では
『相手の心を開く言葉』
『相手を警戒させる聞き方』
『ガマン無しの解決策の見つけ方』
などをお伝えしています。
「親が冷静さを保って、子どもに対応するにはどうすればいいか?」「何と言えば親の願いが子どもの心に響くのか?」という問いにもお答えします。
これらの知識がある前提で子どもと関わると、以前ならカッとなっていた場面で、そもそも苛立たなくなったりします。
すると徐々に、子どもの反応が違うものになっていきます。講座内容の定着が進むにつれて、子どもからの言葉が少しずつ増えてきたという実例や、穏やかに会話できるようになってきたという報告もあります。
対立は減って、乱暴な言葉が飛び交うことも激減していきます。
講座の中では、カウンセラーが親、相談者は子どもの役になり、短いロールプレイをすることもあります。カウンセラーはあえて二パターンの親役を演じます。一つ目は子どもが反発したくなる親、二つ目は子どもが反発しない親です。
相談者の方は、第三者として異なる二つの親を見ることで、気づきを得たり対応のコツを掴んだりします。カウンセラー(親役)から発せられる、子どもへの新しい対応や言葉がけを聞くと、ハッとした表情になる人や、急いでメモを取り出す人などもいます。
講座が進むにつれて、以前とは全く違う対応の型が、相談者の中に蓄積されていきます。いつの間にかその人自身が、子どもとのリアルなやり取りにおいて、新しいやり方を実践できるようになります。
家庭内の新しい関係構築のために、まず率先して親が学ぶことです。
子どもの反抗を止めたいのであれば、子どもが反抗する必要のない親の在り方を身につけてみることです。
子どもとの関係を自分の力で良いものに変えていくことは、今後何十年と続く親子関係への不安を確実に減らします。家庭を続けていく上での希望となります。その道標となるのが、コミュニケーション講座です。
母親の悲しみ

まず最初に現状を伺いつつ、子どもとの関係に悩む親の気持ちにしっかりと耳を傾けます。これまでの努力や家族への願いなどを理解します。その上で、現実的にお子さんとどのように関わっていくかを提案します。
前述のIさんのように、配偶者と子どもとの間で板挟みになっている人の思いを尊重します。家族を助けたいという気持ちから、配偶者の話しを聞き、子どもに語りかけてきた努力があります。そしてそれがいつまで経っても報われないつらさ。何もかも投げ出したくなってしまったという虚しさ。
また、妻の話にも真摯に耳を傾ける必要があります。子どもへのキツイ言葉の数々は、本心ではないはずです。母親としての優しさや愛情があまりにも伝わらないことが重なり、最終的に怒りという姿に成り変ってしまったのでしょう。
怒りは、悲しみを覆い隠す鎧なのかもしれません。母親自身が「なぜこんなに怒ってばかりの自分になってしまったのか」と心の底で嘆いています。
母親だけが子どもに言葉の暴力を振るってきたわけではありません。子どもから投げつけられる、容赦ない暴言にどれだけ傷つけられてきたか。いつの間にか、傷を傷として感じることもなくなってしまいました。
この2人の親の気持ちを無視してコミュニケーション講座を進めることはできません。心の状態を整えずに会話スキルを学んでも、「頭では理解できるけど、実際にそれをしようという気になれない」ということになってしまいます。それでは本末転倒です。
逆に言えば、心理的な対処があればこそ、会話技術の習得にも取り組みやすい気持ちになれるのです。
親がたった1つ何かを変えるだけで、子どもの反応が違うものになります。反発がなくなれば、当然親のストレスも減ります。口やかましく同じことを言ったり、脅したり怖がらせたりする必要がなくなります。
空気が凍りつく瞬間に居合わせることもなくなります。万が一そのような場面に出くわしても、どう対応すればいいかがわかるので、落ち着きを保てます。
衝突が減り、穏やかな時間が増えれば、家庭は居心地の良い場所になっていきます。帰宅時間を憂うつに感じたり、休みの日を無理に外で過ごさなくても済むようになります。
もちろん練習は必要です。新しいコミュニケーションスキルを身につけるためには、練習が一番の近道です。練習さえすれば誰でも習得できます。
血の滲むような努力は必要ありません。特別な能力も、特別な環境も、特別な道具や場所も不要です。日々の会話が練習材料になります。現時点で、子どもからの反発に悩んでいるご家庭なら、そのチャンスには事欠かないはずです。
家庭に平和を取り戻すには

反抗的な子どもの態度に悩まされ、家庭内に張り詰めた緊張状態がある場合、その背景には親のジレンマが隠されています。
ジレンマとは「強く言ってもダメ、優しく言ってもダメ」「効果がないとわかっているけど、他にどうすればいいかわからない」というものです。
この親のジレンマの解消と家族関係の再構築には『心理と会話』この二つが必要不可欠です。心の傷を癒し、思考を整理しながら、『聞く技術』『伝える技術』『対立を解く技術』を身につけましょう。
夫であるあなたが学ぶことで、子どもに良い影響を与えていくことができます。子どもの態度が変わり、怒る理由が無くなれば、家庭に平穏が戻ります。
うまく子どもに対応しているあなたの姿を見れば、妻からの尊敬を得ることもできるでしょう。家族を支えてくれる強くて頼もしいお父さん、困った時は助けてくれるお父さん、その存在感を示していきましょう。
妻であるあなたが学ぶことで、子どもとの関係を変える力が身につきます。講座で学ぶ新しいやり方とは、母親自身がラクでいられる方法です。
怒る必要がなくなり、ストレスが激減します。自然に笑顔も増えて、冗談を言ったり子どもと普通に話す余裕も出て来ます。優しいお母さん、明るくて楽しいお母さん、子どもから愛されるお母さん、そんな関係を作っていきます。
自力や我流を諦めること、率先して学ぶ意欲があること、自らを変える意識があること。これらに納得してもらえるのなら、きっとあなたは家庭をより良い方向に導いていけるでしょう。
コミュニケーション講座・目次
コミュニケーション講座
〈 目次 〉
第1回目 「人間関係がつらい」
二本の柱、心理と会話
第2回目 「気づかずにやっているかも?」
相手の心を閉ざす声掛け
第3回目 「言っても言っても伝わらない」
話し合いが平行線をたどる理由
第4回目 「真剣に聞いていても不機嫌…」
警戒する聞き方、安心する聞き方
第5回目 「大切な人の相談に乗るには」
自己肯定感を高める聞き方
第6回目 「え…?今までと違う反応!!」
自分の心にウソをつかない伝え方
第7回目 「ガマン→爆発→後悔の悪循環」
怒りのコントロール
第8回目 「争わずに解決策を見つけ出す」
意見の違いを恐れないために
初回カウンセリングでは、現状を伺い、方向性の確認をさせてもらいます。
「反抗期の子どもとの争いに決着をつけたい」「親子ゲンカをやめたい」「家族の平和を取り戻したい」そう思われる方はいつでもご連絡ください。
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